【マスクについての意識調査】脱マスクは現実的?ワクチンとの相関性も
2022年5月、政府からマスク着用基準の緩和が発表されました。コロナ禍によりどこへ行くにもマスクが必要となっていましたが、最近では、ごく少数ながら街中でマスクを外している人を見かけるようになりました。
また今年は2年ぶりの「行動制限のない夏」となりますが、感染者の増加も合わさりコロナ禍でのマスクの着用について戸惑う声が上がっています。
そこで本記事では、アンケートサイト「infoQ」を利用している一都三県の10代〜70代の男女3,000人を対象にマスクについてのアンケートを行い、その結果を解説していきます。
マスクの着用頻度や着脱のタイミングとあわせて、年代やワクチン接種回数との関連性も含めて調査しました。
調査の結果、ワクチンの接種回数とマスクの着用頻度に、ある関係性が見えてきました。
Q1 2022年の夏の外出予定は?
<2022年度版>夏の外出予定の第一位は「県外で宿泊を伴う旅行・帰省」に!
新型コロナウイルスが流行り始めて2年経ちましたが、今年の夏はどのような外出の予定を立てているのか見ていきましょう。
「県外で宿泊を伴う旅行・帰省」は、23.3%と4分の1に満たないものの、他の選択肢より高くなっており、県外への旅行を考える人も出てきていると考えられます。
また2年ぶりの行動制限のない夏ということで、お盆に帰省したり親族と集まって時間を過ごすという人も昨年に比べて多いのではないでしょうか。
沢山のイベントが中止になった昨年の夏、私たちはどのように過ごしていたのでしょうか。昨年度の外出と比較してみましょう。
Pick Up昨年度に比べて、県外への動きが活発になっている
「2021年7〜9月の行動」についての質問に対し、グラフのとおりの結果となりました。
「県外で宿泊を伴う旅行・帰省」の項目に注目すると、今年が23.3%に対し、昨年は14.7%と今年は8.6ポイント増加という結果になりました。
今年は県外への動きが活発になっていることが分かります。
また昨年では、外出予定は県内が多い傾向でしたが、全体的に昨年の夏と比べ、どの行動も今年の夏は活発になる傾向が伺えます。
一方で「当てはまる項目がない」への回答が昨年度が48.7%に対し、今年は52.7%とほぼ横ばいでした。感染者数の増加、コロナ禍の長期化により一層の警戒心を抱いている人も多く、外出予定がある人とない人の二極化が強調される結果となりました。
そんな中、2022年5月に厚生労働省より他者と身体的距離(2m以上を目安)が確保できない中でも会話以外では外出でのマスク着用が不要となりました。今年は外出予定も多くなる予想ですが、人々のマスクの着用頻度は実際どのような傾向になっているかをみていきましょう。
Q2 外出時のマスク着用頻度は?
外出時のマスク着用は「ほぼ100%着用している」が81%を超える結果に
「外出する際マスクを着用していますか(※飲食など外す必要のある場面を除く)」と質問すると、8割以上の人がほぼ100%着用していると回答しました。
現在は「極力マスクを着けて行動する」が一般的な意見といえそうです。
「ほぼ100%着用している」と回答した人達を年代別に詳しく見てみると、もっとも着用頻度が高い年代は60代で、84.8%でした。反対に10代は77.9%と6.9ポイントほど差が生まれています。
若年層よりマスクの着用率が高い理由としては重症化のリスクや、同居する親が高齢であること、社会的な接点の多さなどからくる危機感の高さが挙げられるのではないでしょうか。
次の項目では、厚生労働省の緩和発表以後に、実際にマスクの着用頻度の変化はあるのかをみていきましょう。
Q3 マスク着用頻度の変化
着用基準緩和後も「着用頻度は変わらない」が85%を占める
「2022年5月のマスク着用基準の緩和が発表後にマスクを着用する場面に変化がありましたか」との質問してみたところ、「マスクの着用頻度は変わらない」が8割以上を占めるという結果になりました。
「マスクの着用頻度は変わらない」と回答した人の理由は、「まだ感染の不安があるから」「リスク回避をするため」といった不安感から着用頻度を変えられないという意見がありました。また、「習慣になっている」「なんとなく」といった慣れから来る意見も見受けられました。
マスク着用基準の緩和が発表されたものの、感染リスクを下げるために着用頻度を変えない人と着用習慣を続けている人が多いと考えられます。
反対の意見として、「マスク着用頻度が変わらない」または「マスク着用頻度が増えた」と答えた人たちはマスク着用に関してどう考えているのでしょうか。
Q4 マスク着用を減らしたいと思いますか?
減らしたいが約38%、どちらともいえないが約44%
「マスク着用頻度が変わらない」または「マスク着用頻度が増えた」と答えた人たちに「マスク着用を減らしたいと思いますか?」と質問したところ、着用頻度を減らしたくないと回答した人は、2割以下という結果になりました。
現状、マスク着用を維持している人たちも、積極的にマスク着用を続けたいと思っているわけではないことがわかります。
マスクの着用頻度を減らしていない人を対象に、マスクを外したいと思う場面を聞いてみました。
「早朝の野外でのランニング」
「一人作業の時」
「人と会うことがない道を歩いたり、人が少ない公園など」
このように、政府のガイドラインでは許可されているような、人との距離が確保できる、会話の想定されない場面でもまだマスクをしている様子が伺えます。なかなか感染者数が落ち着かないこともあり、規制緩和は合ったものの、マスクを外すに外せない状況であることが想定されます。
逆にQ3にて「マスク着用頻度が減った」と答えた人はどのような場面でマスクを外すようになったのでしょうか。
Q5 マスクを外す場面について
暑さ対策のために外している人が増えている
Q3で「マスクの着用頻度が減った」と回答した人に「2022年5月以降マスクを着用しなくなった場面を教えてください」と質問したところ、グラフのような結果になりました。
マスクを外し始めている人の傾向として、政府のガイドラインで取り上げられているように屋外での活動の際にマスクを外し始めていることが伺えます。
特に「ランニング・散歩」「スポーツ」のような運動量の多い活動では、熱中症対策のために外していることが想定されます。
ではマスク着用に迷う場面はあるのでしょうか。次の章でみていきましょう。
Q6 マスクの着用を迷う場面は?
人と接するのが短い時間だと悩む
「マスクの着脱を迷う場面」を聞いてみたところ、以下のようなシチュエーションで迷うという声があがりました。
- 社内で上司から「マスクの使用は各自にまかせる」発言があるとき
- 人通りがまばらな道
- 人がいる中で、動きのある動作をして息切れしている時
- 対面で配達物を受け取るとき
- 食事中
各人にマスクの着脱をゆだねられると困ってしまうといった回答が一定数あり、目立ちました。また、人通りがまばらであったり、人と接するのが短時間である場合は判断に迷うように見受けられました。
厚生労働省によると、徒歩や自転車での通勤、屋外で人とすれ違う場面ではマスクの着用は必要ないということですが、2年以上日常的にマスクをしてきた私たちにとっては、マスク無しですれ違うという行為に再び慣れるまでに時間が必要かもしれません。
▼マスクの着用について(厚生労働省)
Q7 マスクを外すタイミング
「感染者数の減少」がマスクを外す1番の理由に
「マスクの着用が完全に任意になった場合、あなたはどのようなタイミングでマスクを外しますか。」と聞くと、「新型コロナウイルスの感染者数が減ったら外す」と答えた人が1番多くなりました。
連日テレビなどで感染者数が報告されており、注目が集まるのは妥当といえますが、年代ごとにみると、年代によりマスクを外す判断のタイミングに大きな違いがあることが分かりました。
10代、20代では「周りの人が外したら」マスクを外すという意見がもっとも多く、全体の40%以上を占めています。
一方で、年齢が上がるにつれ、「新型コロナウイルスの感染者数が減ったら」マスクを外すという意見が多くなっていきます。
年齢が高くなるほど、マスクの着脱について慎重で、確実に数値として表せる情報を指標としていることが分かります。
一方「すぐに外す」と回答した人はどの年齢も一定数存在しており、許されるなら少しでも早くマスクを外したいという心理が垣間見えた結果といえるでしょう。
ここまで、マスク着用の実態を見てきました。次の項目では、ワクチンの接種回数とマスク着用頻度の相関を見ていきます。
Q8 新型コロナワクチンの接種回数
「3回接種」と「2回接種」で8割を超える結果に
まずワクチンの接種状況から見てみましょう。
新型コロナウイルスワクチンの接種回数の回答に対し、「3回」(67.8%)、「2回」(16.9%)との回答が大半を占める結果となりました。最近始まった4回目の接種率は2.6%でした。
約87%の人がワクチンを2回以上接種している結果となり、予防をしていることが伺えます。
接種していないと回答した人は、「アレルギーがあるため」「体質的に接種が困難」といったような健康上の理由や、「ワクチンに不安感がある」「ワクチンの安全性が不透明だから」といったワクチンに対する不信感で接種しないとの声が挙がりました。
次の章では、新型コロナウイルスワクチンの接種回数とマスク着用の相関があるかをみていきましょう。
Q9 新型コロナウイルスワクチンの接種回数とマスク着用の相関は?
接種回数とマスクの関連性
※ワクチン接種回数「1回」と「4回」に関しては、母数が少ないため参考値になります。
ワクチン接種の回数別に見ると、ワクチンの接種回数が多い人の方がマスクの着用率が高い傾向となりました。
ワクチンの接種回数が多い人の方が新型コロナウイルスへの予防意識が高く、マスクの着用率が高いことが考えられます。
Pick Up県外の移動についてはワクチン接種者の方が活発
※ワクチン接種回数「1回」と「4回」に関しては、母数が少ないため参考値になります。
Q1で質問した2022年夏の外出予定をワクチンの接種回数別に詳しく見てみたところ「県外で宿泊を伴う旅行・帰省」をすると回答した、3回目接種者が24.9%、2回目接種者が22.5%、接種していない人が13.3%という結果になりました。
県外の移動については、接種回数に一定比例する形で外出予定があることがわかりました。ワクチン接種者の方が活発で、未接種の人の方が自粛傾向となりました。
マスクの着脱に慎重な姿勢を見せていた3回の接種者が県外の移動に県外への移動については他より積極的であることがわかります。このことから、ワクチンが県外をまたぐ移動の上で一定の安心材料になっていると考えられます。
まとめ
ここまで今年と去年の夏の外出予定の違い、 外出時のマスク着用とワクチン接種の関連性、マスク着用頻度についてのアンケート調査結果を紹介しました。
外出時のマスク着用は「ほぼ100%着用している」が約8割、着用基準緩和後も「着用頻度は変わらない」が85%を占めました。
また、全体的に夏の行動は活発化する傾向にあり、特に去年より県外への旅行の移動が8.6ポイント微増になる見通しがあると分かりました。
またマスク着用とワクチン接種回数の相関においては、ワクチンの接種回数が多い人の方が着用率が高いという関連性があると分かりました。一方で、県外の移動についてはワクチン接種者の方が活発で、未接種者の方が自粛傾向であるといったことも伺えました。
再度の感染拡大に伴い、引き続きの感染対策行動が求められますが、現在は行動を制限するというよりも「気を付けながら行動する」フェーズに移っていると考えることができます。
「マスクの着用が完全に任意になった場合、あなたはどのようなタイミングでマスクを外しますか」という質問には難しく感じた人も多かったように、基準がなく判断に迷う場面も多々あると思います。
自信を持って判断ができるよう、ワクチン接種や手洗い、正しい場面でのマスク着用など安全に配慮しながら少しずつでもできることを増やしていけるとよいのではないでしょうか。
調査概要
- 調査方法:
- infoQでwebアンケート実施
- 調査期間:
- 2022年7月8日(金)~2022年7月13日(水)
- 有効回答:
- 3,000サンプル
- 調査対象:
- 一都三県15~79歳男女