電子マネーとは?特徴やメリットを解説|利用率や平均金額、利用場面を6,500名に調査
電子マネーとは、あらかじめお金がチャージされたカードやスマートフォンを使用して、現金を使用せずに支払うことを指します。
インターネットやスマートフォンの普及に加え、感染症流行も後押しとなり、非接触の支払い形式へ注目が集まっています。コンビニエンスストアやスーパーでの利用はもちろん、公共料金の支払いも電子マネーが使えるなど、現金を持ち歩かずに買い物や支払いができるため、とても便利です。
また、経済産業省 はキャッシュレス決済比率を2025年度までに4割程度にすることを目標にキャッシュレス決済の推進を実施しています。2021年時点でのキャッシュレス決済率は32.5%、その中で電子マネー決済額は2.0%という調査結果がでており、今後さらに電子マネー決済が推進されていくことが予想されます。
今回は、電子マネーを利用している全国の男女6,500人を対象に、電子マネー決済の特徴やメリットデメリット、使用金額や場所などについて調査を行いました。
電子マネーとは?
電子マネーとは、現金を電子化して、決済に利用することです。
現金のやり取りではなく、スマートフォンや指定されたカードを使って、電子化されたお金で支払うことで買い物ができる仕組みです。
電子マネーの3つの支払い方式
電子マネーは、支払いのタイミングが3種類あります。
1.先払い(プリペイド式)
2.後払い(ポストペイ式)
3.即時払い(デビット型)
1.先払い(プリペイド式)
先払い(プリペイド式)は、電子マネーを使用する前に、現金をチャージしておくことで電子マネーが使用できる方式です。
チャージできる上限金額は、電子マネーによって異なります。また、チャージの方法もいくつかあることが特徴です。
・専用の機械からチャージする
・オートチャージ(指定の金額を下回ったタイミングで自動的にチャージされる)
・インターネットからチャージ など
2.後払い(ポストペイ式)
後払い(ポストペイ式)は、電子マネーとクレジットカードを紐づけて決済する方式です。
電子マネーで支払った金額が、後日クレジットカードの支払い額と合わせて、銀行口座から引き落とされる仕組みになります。クレジットカードによっては、ポイントを同時に貯められるものもあるため、お得感が高いと考える人もいるかもしれません。
「先払い」形式と異なり、事前にチャージする必要がないため気軽に使えますが、お金を使いすぎてしまうこともあるので、利用額に注意が必要です。
3.即時払い(デビット型)
即時払い(デビット型)は、電子マネーとデビットカードを紐づけて決済する方式です。
店舗でデビット型の電子マネーを使用した後、すぐに銀行口座からお金が引き落とされます。支払いのタイミングが、夜間や休日など銀行が空いていない時間帯の場合は、翌営業日に引き落とされます。
続いて、電子マネーの4つのタイプについてみていきましょう。
【4タイプ別】電子マネーの特徴とは?
電子マネーを分類すると、4つのタイプに分かれます。
1.QRコード決済系
2.交通系
3.流通系
4.クレジットカード系
電子マネーを利用したことのある男女6,500名に「利用したことのある電子マネー」を聞いたところ、QRコード決済系の電子マネーを利用したことがある人は全体の68.0%でした。QRコード決済系は、電子マネーの中でも一番多く利用されているようです。
また、交通系の電子マネーも全体の65.5%の人が利用しており、人気の高さがうかがえます。
それぞれの電子マネーの特徴を見ていきましょう。
1.QRコード決済系
QRコード決済系は、店舗に置いてあるQRコードをスマートフォンで読み込んだり、自分のスマートフォンの画面上のQRコードを提示することで支払いをする電子マネーです。あらかじめスマートフォンにQRコード決済用のアプリをインストールして利用します。
・PayPay(ペイペイ)
・d払い(ディー払い)
・楽天ペイ
クレジットカードや銀行口座との紐づけ、現金によるチャージなどで電子マネーを利用する仕組みです。使用履歴やポイント残高をスマートフォンから確認できたり、個人間で1円単位の送金ができる機能のあるサービスもあります。
QRコード決済系の電子マネーは、定期的にポイント還元率の高いキャンペーンをやっているサービスがあるのも特徴の一つです。PayPayのポイント還元率について詳しく知りたい方はこちらをチェックしてください。
参考記事:PayPayポイントの還元率は?効率よくポイントを貯める方法も
年代別に分析したところ、QRコード決済系の電子マネーを利用したことのある人が多いのは30代で、全体の70.4%という結果となりました。その一方で、20代以下、40代、50代のいずれも60%代後半であり、世代差はあまりなく、全体的に高い利用率であると考えられます。
2.交通系
交通系は、その名の通り、交通会社が発行している電子マネーです。
・Suica(スイカ)
・PASMO(パスモ)
カードを駅で発行し、駅の自動券売機でチャージができるため、通学・通勤する層には一番馴染みのある電子マネーではないでしょうか。
発行当初は、電車やバスなどの交通機関の乗車券や定期券として利用されていましたが、近年ではコンビニや自動販売機、スーパーやドラックストアなど様々なところで利用できるようになっています。
また、モバイルSuicaなどスマートフォンの中にSuicaの機能を入れた電子マネーも登場しており、スマホ1台で電車の乗り降りや買い物ができるようになっています。
年代別に分析したところ、20代以下の世代では76.8%の人が利用経験があり、1番多い結果となりました。各種電子マネーのなかでも、通学定期券として最初に入手する学生が多いことと関連しているのではないでしょうか。
また、他の電子マネーはクレジットカードの発行や銀行口座の紐づけなどが必要な場合もあります。交通系電子マネーではこれらの紐づけが不要なので、若い人が導入するハードルが低いのではと推察されます。
3.流通系
流通系は、スーパーやコンビニなどの小売店や通信販売での利用を前提に、流通系の会社が発行している電子マネーです。
・WAON(ワオン)
・nanaco(ナナコ)
・楽天Edy
それぞれの電子マネーごとに、利用できる店舗は限られていますが、よく行く店舗のカードを作ると、ポイントも貯められるためお得に使えます。
また、あらかじめお金をチャージしておけば、レジで財布を出す必要がないことも特徴の一つです。スーパーなどで大量に買い物をしたときに、スムーズに会計ができるのは便利ですね。
ちなみに、カードや利用店舗によって、ポイントの還元率は異なります。流通系電子マネーのうち、nanacoのポイント還元率について以下記事にまとめています。詳しく知りたい方は、こちらの記事をチェックしてみてください。
参考記事:nanacoは還元率が高い? ポイント二重取りなどお得な使い方を解説
年代別に分析したところ、流通系電子マネーを利用したことがある人が多いのは50代で全体の55.4%でした。また、年代が上がるほど利用率が高くなる傾向となり、40代以上の世代では、2人に1人以上が流通系電子マネーを利用したことがあるようです。 これは、イオンやイトーヨーカドーなどのスーパーで買い物をする主婦層と、流通系電子マネーの相性の良さやポイント還元率の高さなどが関連していると推察されます。各店舗にチャージする機械が置いてあるため、スマートフォンなどを通さずに、店頭でお金をチャージできます。チャージ方法が簡単で馴染みやすい点も、利用を後押ししているのではないでしょうか。
4.クレジットカード系
クレジットカード系は、クレジットカードやデビットカード、もしくはそれらの情報と紐づけられたスマートフォンをレジの端末にかざして支払う電子マネーです。
・iD(アイディ)
・QUICPay(クイックペイ)
通常のクレジットカードの支払い時とは異なり、暗証番号や署名を必要としないため、スムーズな支払いが可能となります。
年代別に分析したところ、クレジットカード系の電子マネーを利用したことがある人が多いのは30代で、全体の33.6%という結果となりました。
他の年代をみると、全体的に約3割程度の人が利用している結果となり、世代間での大きな差は見られませんでした。とはいえ交通系や流通系の電子マネーと比較すると、全体的に利用率が低い傾向にあるようです。
【6,500人に聞きました】電子マネーを使うメリット・デメリットは?
人気の理由は「簡単に決済できる」が63.9%
電子マネーを利用するメリットを調査したところ、上位5つは下図の結果となりました。
メリットとして「簡単に決済できる」と答えた人が全体の63.9%で1位となりました。「現金を持ち歩かなくてよい」と答えた人が52.0%、「電子マネーのポイントが貯まる」と答えた人が51.6%という結果でした。便利さや手軽さ、お得さがメリットであると考えている人が多いようです。
また、「利用できるお店の多さ」や、「支払履歴が確認できる」といった点もメリットとしてあげられました。
電子マネーのメリットについて、詳細を聞いてみました。
・お金を数える必要がないし、カードと違って暗証番号も打たなくていいので楽
・お釣りのことを考えずに買う商品のことだけを考えて、レジにいくことができるのでとても楽です。 会計後にもらうのは、レシートだけなので焦ることがないところも良いと思います。
・リュックを背負っていることが多く、お財布を出すのが面倒なので、楽に支払いができるところはメリットです。
・小さい子供がいるので、レジで財布を出して現金を出してお釣りを貰って...という事をしていると、子供が何処かに行ってしまうことがある。 それを解決する方法として電子マネー払いをするようになった。
・1円玉、5円玉の小銭が減る
・ちょっとしたお出かけなら財布を持ち歩かなくても困らない
・お財布が重たいので、電子マネーを使うようになって、バックが軽くなり、かばんが小さくなりました
・ポイ活で貯めたポイントをpaypayポイントに変えて現金化を挟むことなく決済に使える点
・物価高騰で生活が苦しい中、ポイント還元される場合が多い。0.5%や1.0%等の還元率とはいうものの銀行の利率に比べるとお得感があり、生活の助けになっている。
・家計簿アプリと連携することでお金の管理が自動でできる
・suicaを利用していて、電車に乗るたびにいちいち切符を買わずに済む
・割り勘や立替などでお金を払わなければいけないときに現金だとちょうどもっていないといけないが、電子マネーで送金すると簡単にちょうどの金額を払える
電子マネーを利用するメリットとして「決済の簡単さ」や「現金を持ち歩く必要がなくなる」「ポイントが貯められる」といった意見があがりました。
ポイントが貯まると回答した方の中には、ポイ活で貯めたポイントを電子マネーのポイントに変えて買い物に利用している人もいるようです。
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また、こちらの記事では初心者でも簡単にできるポイ活について紹介しています。ポイ活に興味がある人は是非チェックしてみてください。
参考記事:初心者も手軽に行えるポイ活とは?方法やコツ、メリット・デメリットを解説
「利用できないお店がある」のが懸念点
電子マネーのデメリットを調査した結果、上位5つの回答は図のようになりました。
「利用できない店がある」と答えた人が44.2%で一番多い結果となりました。また、「ネット・スマホがないと使えない」と答えた人が27.4%と、電子マネーを使うために必要なインターネット環境やスマートフォンをあげる人もいました。
また、「チャージしたポイントを現金に戻せない」「チャージの手間がかかる」といった、現金をチャージすることに対する不便さを感じている人もいるようです。
電子マネー利用のデメリットについて、詳細を聞いてみました。
・PayPayしか使用できない店、現金よりもむしろ時間がかかる店などがある
・お店によって使えるもの使えないものがばらばらで分かりにくい。事前準備してレジに並びたいがレジにしか使える決済方法が書かれていないので困る。会計するときになって変更するのはもたついて後ろの人に迷惑をかけるし、自分も焦る。
・病院で使える所と使えない所があるので、どこでも使えたらなと思う。
・QRコード決済で、電波が悪くてアプリを立ち上げることができず、使用できなかった。
・アプリの不具合やバグがあると支払いができないので予備的に現金を持つ必要があること
・お店のレジ付近のが電波が弱く支払い画面のバーコードを出すのに時間がかかったり、少し場所を移動して、電波のいいところで表示させたりと時間がかかり、後に並んでいる人にも変な目で見られるので、電波が弱い所は環境強化して欲しい
・スマホの場合機種変更や、磁気不良があると支払いができないと思う。災害があって使えなくなる可能性もある。
・オートチャージなどで現金を持たなくてもよいので、使いすぎることがデメリットだと思います。
・お金を使っている感覚が薄いので、使いすぎる心配がある。手元に実際の現金がないので管理しづらい。
・すべての店で使える訳ではないので、財布も必要。 お金を財布から出さないで支払えるのは楽だが、お金を使ったという実感が薄いので、人によっては使いすぎてしまうのではないかと思う。
・チャージした後に訪れたお店が現金以外が未対応だったため、現金が必要になりましたが、一度チャージしたポイントを現金に戻せないため買物を断念したということがありました。
・チャージするのが面倒。一度に多い金額をチャージすると落とした時に怖いので、1万円単位でしかしないから、度々チャージしなければならない。
・スマホを取り出してロックを解除してアプリを起動して支払い画面を表示するという一連の作業が少し面倒。マスクをしていると顔認証でのロック解除がスムーズにできなかったり、電波の入りが悪い時などアプリを起動してもすぐ落ちてしまったりする。
・ポイント還元率などをチェックしておかないとメリットを最大限に生かせないため、情報に常に気を配る必要がある点です。また、どの支払い方法がもっとも良いのか、判断に迷うことがあります。
・複数の電子マネーを使っているとどこにどのくらいの金額入っているのか分からなくなる。また、人に送金出来るのはメリットだと思うが相手と同じ電子マネーを使用していないといけない点はデメリットだと思う。
電子マネーでの支払いは月いくら?|1,000~5,000円の利用が最多
直近1か月で電子マネーで払っている金額を聞いたところ、最も多いのは「1,000円~5,000円未満」で26.5%という結果になりました。また、「5,000円~10,000円未満」と回答した人は19.7%であり、月に10,000円までの範囲で利用している人が全体の58.9%を占めていました。
大きな買い物での利用というより、コンビニや自動販売機など比較的少額の決済で電子マネーを利用している人が多いのではないでしょうか。
しかし、毎月50,000円以上利用している人は全体の7.4%いることもわかりました。現金より電子マネーをメインに支払いを済ませている人も一定数いるのではと推察されます。
電子マネーの利用頻度は?|2人に1人が日常的に利用
電子マネーで支払いをする頻度を聞いたところ、「使えない店以外のすべてで利用している(90%以上)」と答えた人が22.2%、「ほとんどの決裁で利用している(80~90%未満)」人は15.5%、「よく利用している(70~80%未満)」人は16.7%でした。
日常生活の7割以上で電子マネーでの決済を行っている人は、全体の54.4%となりました。2人に1人は日常生活で電子マネーを利用していることから、電子マネーの浸透率の高さがうかがえます。
一方で、「ほとんど利用しない(0~30%以下)」と答えた人も8.2%いました。人によって使う頻度が大きく異なるようです。
電子マネーをよく使う場所は?|コンビニエンスストアやスーパーでの利用が多い傾向
電子マネーをよく使う場所について調査し、上位6つの場面を表にまとめました。(複数回答可)
1位は「コンビニ」で71.0%、2位は「スーパーマーケット」で53.0%、3位は「ドラッグストア」で51.5%となりました。半数以上の人が、日用品や食料品を購入する場面で電子マネーをよく利用しているようです。
各種買い物をする場面と比べると、飲食店やショッピングセンターでの利用率はやや下がる傾向にありました。
こんな場面で活用している人も!
他にも、電子マネーをよく使う場面を聞いてみました。日々の買い物から税金・各種料金の支払いまで、日常生活の様々な場面で利用されていることが見てとれます。中には、あなたの活用したことのない場面もあるのではないでしょうか?
・100円ショップ
・ガソリンスタンド
・自動販売機
・美容院
・税金
・学校給食費
・荷物発送
・駐車場
・インターネットショッピング
・アプリ課金
まとめ
今回は、電子マネーの特徴やメリット・デメリット、利用実態について調査しました。
電子マネーには「交通系」「流通系」「クレジットカード系」「QRコード決済系」の4種類があり、なかでも「QRコード決済系」「交通系」は二人に一人以上の割合で利用されていることが分かりました。世代別に見てみると、「QRコード系」の利用率はどの年代でも同程度だったのに対し、「交通系」は若い世代で特に利用者が多いことも特徴として見えてきました。
また、電子マネーのメリットとしては、決済の簡単さや現金を持ち歩く必要のない便利さ、ポイントを貯められるお得さが挙げられました。一方で、使用できるお店が限られること、通信環境によって使いにくい場合があること、お金を使いすぎてしまうことが懸念点として挙がっています。
買い物先や飲食店など、今や多くの場所で導入されている電子マネー支払い。特徴やメリット・デメリットを理解したうえで、自分の生活に合った場面・金額で利用していきたいですね。
調査概要
- 調査方法:
- infoQでwebアンケート実施
- 調査期間:
- 2023年3月6日(月)~ 2023年3月8日(水)
- 有効回答:
- 6,500サンプル
- 調査対象:
- 電子マネーを利用したことがある全国15~59歳男女