共働き夫婦の扶養はどうする?扶養控除と配偶者控除の対象や制度

共働き夫婦の扶養はどうする?扶養控除と配偶者控除の対象や制度

扶養制度は、税金や社会保険料の負担を減らせる大切な制度です。

しかし夫婦共働きだと、扶養される配偶者は年収をいくらまでに抑えたらよいのか、子どもはどちらの扶養に入れたらよいのか悩むこともありますよね。

本記事では、「扶養控除」と「配偶者控除」の制度内容や対象をわかりやすく解説します。

扶養の種類について

扶養には、

・税法上の扶養(所得税や住民税に関する扶養)
・健康保険上の扶養(健康保険料に関する扶養)

の2種類があります。

税法上の扶養には、さらに、

・基礎控除
・扶養控除
・配偶者控除

の3種類があります。

これらを表にまとめると下記のとおりです。

税法上の扶養 基礎控除
基礎控除
扶養控除
配偶者控除

今回は「扶養控除」と「配偶者控除」を詳しく解説します。

扶養控除とは?共働きはどちらが子どもを扶養するべき?

扶養控除とは?共働きはどちらが子どもを扶養するべき?

まず1つ目の「扶養控除」です。

扶養控除とは、扶養親族がいる場合に受けられる扶養です。

扶養親族とは、自分たちの子どもや父母、祖父母などを指し、厳密には6親等内の血族(納税者の親族)、もしくは3親等内の姻族(納税者の配偶者の親族)になります。
納税者と生計をともにしており、年間所得が48万円以下であることが条件です。

例えば共働きの夫婦で子どもがいる場合、どちらが子どもを扶養するべきなのでしょうか?
考えるポイントを解説します。

共働き夫婦の被扶養者認定基準の変更

共働き夫婦の被扶養者認定の基準は、2021年8月に変更になりました。

2021年8月に、厚生労働省から「夫婦共同扶養の場合における被扶養者の認定について」が通知され、夫婦共働きの社会保険の被扶養者認定基準が明確になったのです。

参照:「夫婦共同扶養の場合における被扶養者の認定について」/厚生労働省

上記資料内では、下記のとおり記されています。

1 夫婦とも被用者保険の被保険者の場合には、以下の取扱いとする。

(1) 被扶養者とすべき者の員数にかかわらず、被保険者の年間収入(過 去の収入、現時点の収入、将来の収入等から今後1年間の収入を見 込んだものとする。以下同じ。)が多い方の被扶養者とする。

(2) 夫婦双方の年間収入の差額が年間収入の多い方の1割以内である 場合は、被扶養者の地位の安定を図るため、届出により、主として 生計を維持する者の被扶養者とする。

上記(1) と(2) をそれぞれ解説します。

基本は収入が多いほうが扶養する

原則は、今後1年間の収入見込みが多いほうが扶養します。

1年間の収入見込みとは、上記にも定められているとおり、過去と現時点、将来の収入などから見込んだ今後1年間の年間収入です。

夫婦の年収差が1割以内の場合は注意

収入差が少ない(1割以内)夫婦の取り扱いについても明確に定められました。

共働き夫婦のうち、年間収入が多いほうの年収額に対する夫婦の年間収入の差額割合が、1割を超えているかがポイントです。

差額が1割を超えていたら、子どもは年間収入が多いほうの扶養になります。

1割以内であれば、主として生計を維持するほうの扶養になります。

国民健康保険と被用者保険の組み合わせの場合は?

夫婦のどちらかが自営業を営み、国民健康保険に加入しており、どちらかは会社員勤めで被用者保険に加入しているといった場合でも、収入が多いほうが扶養します。

国民健康保険に加入しているほうが収入が多い場合、そもそも国民健康保険に扶養の概念はありません。その際は子どもを国民健康保険に加入させます。

被用者保険に加入しているほうの扶養に子どもを入れる場合、加入している健康保険組合・協会によって基準は異なります。独自の制度を設けていることもあります。

ご自身が加入している保険の制度を必ずチェックしましょう。

配偶者控除とは?所得がいくらまでなら適用される?

続いて2つ目の「配偶者控除」を解説します。

配偶者控除とは、一定の条件を満たす配偶者がいる場合に受けられる所得控除です。

配偶者控除の条件とは

配偶者控除を受けられる対象者は、その年の12月31日時点で下記4つの要件のすべてに当てはまることが求められます。

(1)民法の規定による配偶者であること(内縁関係の人は該当しません。)

(2)納税者と生計を一にしていること。

(3)年間の合計所得金額が48万円以下(令和元年分以前は38万円以下)であること。(給与のみの場合は給与収入が103万円以下)

(4)青色申告者の事業専従者としてその年を通じて一度も給与の支払を受けていないことまたは白色申告者の事業専従者でないこと。

参照:No.1191 配偶者控除|国税庁


ちなみに平成30年分以降、控除を受ける納税者本人の合計所得金額が1,000万円を超える場合、配偶者控除は受けられないので注意しましょう。

また、出産手当金や出産育児一時金、育児休業給付金はすべて非課税なので、所得金額には含まれません。

配偶者控除の控除額はいくら?

配偶者控除の金額は下記のとおりです。(2022年10月現在)

控除を受ける納税者本人の合計所得金額 【控除額】一般の控除対象配偶者 【控除額】老人控除対象配偶者
900万円以下 38万円 48万円
900万円超950万円以下 26万円 32万円
950万円超1,000万円以下 13万円 16万円

参照:No.1191 配偶者控除|国税庁

「配偶者控除」と「配偶者特別控除」の違い

「配偶者控除」の他に、「配偶者特別控除」もあります。

配偶者特別控除とは、配偶者に48万円(令和元年分以前は38万円)を超える所得があり配偶者控除の適用外となっても、要件を満たしていれば税金が軽減される制度です。

控除を受ける納税者本人の合計所得金額が1,000万円以下であるなど、配偶者特別控除を受けるための要件が細かく定められています。

詳しくは下記国税庁のWebサイトで最新情報をご確認ください。

なお、夫婦間でお互いに配偶者特別控除を受けることはできません。

参照:No.1195 配偶者特別控除|国税庁
参照:配偶者控除及び配偶者特別控除の見直しについて|国税庁

他にもある配偶者控除(相続税や贈与税)

配偶者控除には、他にも相続税や贈与税の配偶者への優遇措置があります。

まず相続税です。
ポイントは、被相続人の配偶者が遺産分割や遺贈により実際に取得した正味の遺産額です。その額が下記金額のどちらか多い金額までは、配偶者に相続税はかかりません。

・1億6千万円
・配偶者の法定相続分相当額

参照:No.4158 配偶者の税額の軽減|国税庁


贈与税では、婚姻期間が20年以上の夫婦間で、居住用不動産(もしくはそれを取得するための金銭贈与)が行われた場合は、基礎控除110万円のほかに最高2,000万円まで控除できます。

参照:No.4452 夫婦の間で居住用の不動産を贈与したときの配偶者控除|国税庁

どちらも控除を受けるための要件が定められているので、詳しくは国税庁のWebサイトで最新情報をご確認ください。

まとめ

まとめ

扶養制度は一見難しそうですが、仕組みや種類を理解すれば自分に当てはまるものを判断しやすいです。

ちなみに扶養内に年収を抑えたい被保険者の方には、アンケートモニターもおすすめです。

隙間時間にアンケートに回答して少しずつポイントを貯め、貯まったポイントを現金やギフトカードに交換します。これなら扶養内に収まるか気にせず、気軽にお小遣い稼ぎができます。

ただし会社員だと、副業(アンケートモニター含む)の年間所得が20万円を超えると確定申告が必要です。

参照:副収入などがある方の確定申告|国税庁

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