台風の防災対策、どうしてる?台風が来る前にしている備えや対策方法を男女3,000名に調査

台風の防災対策、どうしてる?台風が来る前にしている備えや対策方法を男女3,000名に調査

近年、地球温暖化の影響から、勢力の強い台風が発生しやすくなっています。記録的な勢力を持つ台風の発生や大きな災害は、毎年のように報告されています。最近では、2019年10月に発生した「令和元年東日本台風」にて、関東や東北地方に甚大な被害をもたらしました。

大型台風の襲来は、鉄道の計画運休や飲食店の休業を招いたり、場合によっては地域の体育館に避難しなければならなかったりと、日常生活に大きな影響を及ぼすこともあります。そのため、これからの台風シーズンに不安を感じている方もいるのではないでしょうか。

今回は、全国3,000人の男女(20〜69歳)を対象に、台風への対策方法や、災害発生に備えた防災グッズ・生活用品等の準備について調査しました。台風上陸前に準備することが分からないという方や、これから災害対策を始めようと考えている方は、ぜひ参考にしてください。

台風によって起こりうる被害

台風は、熱帯海域で発生する大気の渦動現象です。暖かい海水からエネルギーを得て成長し、強風と豪雨をもたらします。日本では、海水温が高く、台風が発生しやすい条件が揃っている7月から9月にかけて、台風の発生が多くなります。

過去30年の台風の平均発生件数

  1月 2月 3月 4月 5月 6月 7月 8月 9月 10月 11月 12月 年間
発生数 0.3 0.3 0.3 0.6 1 1.7 3.7 5.7 5 3.4 2.2 1 25.1

参考:気象庁|台風の平年値

台風がもたらす影響は私たちの生活のあらゆる面に及びます。特に、近年では地球温暖化の影響もあり、より激しい豪雨が発生しているとされています。

例えば2022年に台風14号が発生した際は、九州を中心に西日本で記録的な大雨や暴風となり、この地域での最大瞬間風速の観測史上1位を更新しました。宮崎県を中心に人的被害や住家被害が発生し、ライフラインや交通インフラにも被害の影響が及びました。

台風によって引き起こされる災害や、災害によって生じる危険には、どのようなものがあるのでしょうか。

がけ崩れなど土砂災害

がけ崩れは突然起きるため逃げ遅れることが多く、山間部や崖沿いに住んでいる人々にとって、非常に危険な災害です。がけ崩れは、地中にしみ込んだ水分が土の抵抗力を弱め、雨や地震などの影響によって急激に斜面が崩れ落ちることによって発生します。

土砂災害によって家屋が倒壊してしまうと、住む場所を失うだけでなく、命の危険も伴います。

河川の氾濫など水害

大雨で川の水位が上がり、堤防の高さを越えてしまうと、河川の氾濫が起きます。特に、近年の台風は気候変動の影響もあり、以前より大量の雨をもたらしています。

河川が氾濫すると、道路が冠水したり、地下室へ水が流れたり、マンホールが吹き上げられたりする可能性があります。浸水によって、家電や寝具、衣類などが水没し、使用できなくなることもあります。これにより、生活に必要な物品を失い、生活品質が著しく低下します。

強風による建物破損

台風の強風は、建物や構造物にも大きな影響を与えます。窓ガラスが割れたり、屋根が飛ばされたりすることもあります。強風によって飛ばされた物が人に当たると、怪我をする可能性があります。

台風で不安なことは?

台風で不安なことは?

台風接近に際して最も不安視されやすい項目は何でしょうか。全国の20代以下〜60代の男女3,000名に調査したところ、最も多かった回答は「停電や交通妨害」で、半数の人が不安と感じているようです。次いで、「建物や構造物の倒壊や損壊」と回答した方は34.3%、「携帯電話やインターネットの通信障害」と回答した方は33.4%でした。

また、「不安なことはない」と回答した方は20%未満でした。多くの方は、台風に対して不安を抱えているようです。生命維持に関わる「建物の倒壊」「津波」などももちろん心配ですが、停電や交通妨害によって、仕事の期日や学校生活に影響が出ることをまず第一に心配される方が多いと考えられます。

世代別に心配事が異なる傾向

世代別に心配事が異なる傾向

台風接近に際する心配事は、世代によって異なるようです。例えば「建物や構造物の倒壊や損壊」「停電や交通妨害」を心配する方は、年配の方に多く見受けられます。

一方で、若い世代ほど「不安なことはない」と考える傾向にあるようです。甚大な被害にあった経験がなかったり、体力面でも心配が少ないことから、不安を感じていないのかもしれません。

災害発生に向けた備えはしている?

災害発生時に備えて防災グッズや生活用品等を用意しているか聞いてみました。

「しっかり用意している」と回答した方は全体の4.8%でした。また、「ある程度用意している」と回答した方は全体の31.4%「あまり用意していない」と回答した方は全体の29.8%でした。

不安に思うことはあるものの、半数以上の方が十分な備えをできていないと感じているようです。交通機関の停止などは個人の備えで対処できる問題ではないかもしれませんが、停電時に使う懐中電灯や3日分の水分・食料など、自身で備えておくことのできる範囲で準備しておきたいですね。

賃貸住まいの人よりも、持ち家の人のほうが備えている

・賃貸(マンション等集合住宅)に住む方
・持ち家(マンション等集合住宅)

災害発生に備え、防災グッズや生活用品等を用意しているかどうかの回答を、居住形態別に比較してみました。

賃貸(マンション等集合住宅)に住む方の対策状況を見ると、「しっかり用意している」「ある程度用意している」方の合計は全体の29.1%でした。一方で、持ち家(マンション等集合住宅)に住む方で防災グッズ等を用意している方は46.0%となりました。持ち家に居住されている方のほうが、災害発生の備えを念入りに行う傾向にあるようです。

懐中電灯や飲食物について備えている人が多い

では、防災のために備えている方は、具体的にどのようなものを準備しているのでしょうか。先ほどの質問で、「しっかり用意している」「ある程度用意している」「あまり用意していない」と答えた方を対象に、実際に用意している防災グッズや生活用品等について複数回答で聞いてみました。

多かった回答は「懐中電灯」「飲料水」「非常食」「乾電池や充電式バッテリー」「衛生用品(トイレットペーパー、ティッシュなど)」であり、それぞれ61.9%、57.0%、47.5%、42.9%、41.7%の方が回答していました。

停電など、生活インフラに障害が発生して電気やガスが止まってしまった場合に備えた準備を行っている方が多いようです。また、生命を維持するために必要である最低限の飲食物や衛生用品を用意している方も多いことがわかりました。

経験者に聞く、備えておいてよかったこと

次に、防災グッズを使った経験があるかどうか聞いてみたところ、「はい」と回答した方は全体の7.6%でした。ほとんど多くの方は、用意した防災グッズを実際の災害時に活用する機会に、まだ直面していないようです。

また、避難した経験があるかどうかについても聞いてみたところ、「はい」と回答した方は全体の4.8%でした。災害級の台風が来ていたとしても、地域や状況によっては必ずしも避難勧告が出されるとは限らないため、災害経験者の中でもさらに一部の人のみが、避難所への避難を経験しているようです。

準備しておいてよかったものは懐中電灯や飲食物

防災グッズを使ったことがある方を対象に、準備しておいてよかった防災グッズについて記述してもらいました。回答数が多かったものは以下の通りです。

災害時にあってよかったと思った防災グッズや生活用品等(回答多数の物品)

  • 懐中電灯
  • ラジオ
  • 非常食
  • モバイルバッテリー

懐中電灯や非常食類は、避難所に避難する場合でも役に立つようです。また、避難所で配布される防寒具や避難所の空調設備には限りがあるため、予め準備しておくとよいことがわかりました。

【台風上陸】に対する対策をしている?

災害の中でも【台風が上陸する場合】に備えた対策を行っているかどうか質問したところ、「対策を行っている」と答えた方は17.9%でした。具体的にどのような対策を行っているのか、見てみましょう。

買いだめやベランダ・庭の片付けをする人が多い

台風上陸に備えた対策を行っていると答えた方に、具体的に行っている対策について聞きました。(複数回答可)

「外に置いてあるものを家の中に片づける」と回答した方が最も多く62.6%であり、次いで「食料などを先に買っておく」が61.2%、「雨戸やシャッターを閉める」が50.0%という結果になりました。

台風対策を事前に行っている方は、日常生活で買い物や片付けを行う時に、追加で導入しやすい行動を行っている方が多いようです。

今年やっておきたい備え・対策は「食料の備蓄」

今年やっておきたい備え・対策は「食料の備蓄」

今からでも間に合う対策はどのようなものがあるのでしょうか?台風への備えや対策で今年やっておきたいと思う備えを調査しました。

始めたい対策としては「食料の備蓄」の回答が最も多く、34.3%の方が回答していました。食料品店が休業してしまうことや、食料品の運送が止まってしまう場合に備えて、台風が近づく前に買いだめをしておくという人も多いですね。

台風発生時の対応は?

最後に、 台風が発生した際の対応方法について調査してみました。

台風の情報はどこから入手する?

台風の情報はどこから入手する?

まず、災害情報の入手先について調査を行ったところ、「テレビ」と回答した方が最も多く全体の51.2%でした。

また、世代別に見ても傾向に違いがあるようです。「ラジオでの情報収集を最も優先する」のは60代や50代など年配層が多いのに対し、「SNSでの情報収集を最も優先する」のは20代と30代で半数を超えるなど、情報取得先には顕著な違いが見られました。

インターネットを通して得られる情報の中でも特にSNSの情報は、最新の情報をリアルタイムで得ることができますが、誰でも投稿することができるが故に、情報の信憑性に注意する必要があります。公的機関や報道機関の公式SNSなど、信頼できる発信元から情報を得るようにしましょう。

また、スマートフォンやPCを使用してSNSを利用する場合、ディスプレイのある媒体はラジオと比較するとバッテリーの消耗が激しいため、バッテリー切れにも注意する必要があります。災害発生時にスマートフォンの電池が切れ、避難情報が断たれると、生命維持に関わることもあります。若い世代の方も、非常用にラジオを用意しておくと良いでしょう。

災害時に役立つ情報源

ラジオ 臨時災害放送(FM) 77.1MHz
  コミュニティ放送(FM) 76.1MHz~94.9MHz
  NHKラジオ(FM・AM) ※都道府県により放送の周波数が異なる
SNS 首相官邸(災害・危機管理情報) https://twitter.com/Kantei_Saigai
  気象庁防災情報 https://twitter.com/JMA_bousai
  みんなで考える防災 https://twitter.com/nhk_ikiruskill

避難場所は知っている?

避難場所は知っている?

最後に、避難場所に関する意識についても調査しました。

自宅から一番近い避難場所を知っているかどうか聞いたところ、62.9%の方が「知っている」と回答しました。家族がいる方の場合、家族で避難場所の位置を確認することで、災害発生時に家族が別々の場所にいて連絡もとれない場合に、事前に共有しておいた避難場所で家族と再会できる可能性があります。

居住形態によっては半数以上も避難場所を把握している結果に

居住形態によっては半数以上も避難場所を把握していない結果に

また、居住形態別に見ると、持ち家/賃貸/シェアハウスで差が見受けられました。賃貸の場合、長く住む予定がないため避難場所をいちいち確認していない、というケースがあるのかもしれません。とはいえ、万一の場合に備えておくことで、非常時にも慌てずに済みます。

国土交通省「ハザードマップポータルサイト」では、住所や現在地を入力するだけで簡単にハザードマップを確認できます。洪水や土砂災害、津波など、災害の種類ごとでも確認できるので、事前にダウンロードしたり、印刷しておいたりすると安心です。

避難のタイミング

大前提として、自治体から「避難指示」が発令された場合は、すぐに避難する必要があります。山間部では土砂災害、河川の近くでは河川の氾濫のリスクがあります。また、都心であっても、アンダーパスや地下街は水が溜まりやすく危険性が高いです。このような場所にいる場合は、避難所や周辺の頑丈な建造物等に早めに避難しましよう。

小さな子供やお年寄りなど、体力や瞬発力が大人と比べて少ない方も早めに避難を開始する必要があります。また、暗くなってからの避難は危険があるため、なるべく明るいうちに避難する方が望ましいです。

「避難指示」が発令されていない場合、避難を開始するべきタイミングは、どこにいるかによって異なります。とはいえ最も重要なのは、自治体からの指示がない場合でも、命の危険を感じたら、自らの判断で早めに避難することです。

まとめ

今回は、台風発生時の備えについて全国の20代~60代の男女3,000名に調査しました。台風接近に際して不安に思う理由や重視する対策、情報収集の方法などは世代や居住形態別に異なるようです。

台風接近時に「不安なことはない」と回答した割合はすべての世代において30%未満ですが、災害発生に向けて「しっかり用意している」と答えた割合はわずか4.8%でした。また、マンション等集合住宅において、持ち家の方の「しっかり/ある程度用意している」割合が46%だったのに対し、賃貸の方は29.1%にとどまりました。

必要な対策は世代・居住形態や個々の理由によって違いますが、別の世代・居住形態の方の傾向から「この対策は見落としていた」と気付くこともあるかもしれません。また高齢のご家族や知り合いのいらっしゃる方は、災害時にサポートが必要になる場合もあります。

これから防災グッズの準備や台風上陸に対する準備を始めようと考えている方は、ぜひ本記事を参考に準備を行ってみてください。

調査概要

調査方法:
infoQでwebアンケート実施
調査期間:
2023年9月4日(月)~2023年9月6日(水)
有効回答:
3,000サンプル
調査対象:
全国20〜69歳男女

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