将来のお金の不安は、ほとんどの人が感じているものです。例えば、「病気や交通事故などで急にお金が必要になったらどうしよう?」、「子供の学費は将来どれくらいかかるのだろう?」など、多くの方がさまざまな不安を抱えています。
お金の不安を解消するためには、少しずつでいいので将来を見据えて資産形成を行うことが大切ですが、そのために有効な手段の一つがNISAです。これは、2014年に国が始めた投資制度で、少額でお得に安定した資産形成に役立ちます。
今回は、NISAの意味やメリット・デメリット、さらには2024年からNISAがどうリニューアルされるかについて、詳しく解説します。
NISA(ニーサ)とは税金がかからないお得な資産形成制度
本章では、NISAの意味と現行の3種類のNISAを解説します。
NISAは、2014年にスタートした投資制度で、税金がかからずお得であることが特徴です。
NISAの意味
NISAとは、株式や投資信託で得られた利益に、税金がかからない制度です。通常、上場株式や投資信託等の配当金や売却益には、20.315%の税金がかかります。しかし、NISAであればその税金がかかりません。
▼税率の違い
一般口座・特定口座 | NISA口座 |
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NISAは、日本に住む18歳以上が対象です。最低運用金額の設定がなく、少額から投資を始められるため初心者にもおすすめです。ただ、NISAを始めるには、金融機関でNISA口座を「1人につき1口座」のみ開設しなければなりません。
また、NISAの投資限度額(非課税枠)が設定されており、年間(1月1日〜12月31日)1人あたり120万円であることにも、注意しておいてください。
NISAの種類
NISAには、「NISA(一般NISA)」、「つみたてNISA」、「ジュニアNISA」の3種類があります。
これら3種類のNISAには、上限額や非課税となる期間、対象商品、さらには購入方法に違いがあり、運用方法により選ぶべき種類が異なります。
▼NISAの種類とおすすめの人
NISAの種類 | おすすめの人 | |
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投資をするためのまとまったお金がある 投資金額とタイミングは自分で決めて運用したい |
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長期にわたって投資したい コストをかけすぎずに運用したい |
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子どもや孫の将来を考えて投資したい |
一般NISAは、株式や投資信託を中心に取引を行う投資です。
株式・投資信託等の値上がり後に売却した場合や、配当金を受け取った場合に、収益は非課税対象になります。その際の非課税対象期間は5年で、対象となる年間投資額の上限は120万円です。
一般NISAは、相場の動きを見て自ら考えて自由に投資をしたい方や、投資へのリターンも追求したい方におすすめします。
つみたてNISAは、毎月一定額を積み立てる投資です。非課税対象期間は20年で、対象となる年間投資金額の上限は40万円です。
日本在住の18歳以上で、かつNISA口座を他の金融機関で持っていない方がつみたてNISAを利用できます。
振込手数料がかからない上、積立投資なので売買するタイミングを考える必要もありません。ただ、国の基準を満たした約200本の投資信託などの商品に取引が限定されています。
100円という小額から始められるため、低コスト・低リスクで気軽に始められるので、これから投資を始めるような初心者におすすめです。
2016年1月からスタートした「未成年者少額投資非課税制度」で、未成年者(2023年からは17歳まで)が利用できます。上限額は、年間80万円です。ただ、ジュニアNISAの2023年分の口座開設は、2023年9月末で終了し、2024年以降は条件が変更となり、ジュニアNISAは新規購入ができなくなっています。
すでにジュニアNISAを購入している方は、払出し制限の廃止にも注目しなければなりません。2023年までのジュニアNISAは払出し制限があり、原則的に購入者が成人を迎えるまで払出しができませんでした。2024年以降はジュニアNISAで払出し制限が廃止され、保有株式等を好きなタイミングで売却できるようになりますが、受け取った配当金や売却代金の一部だけを出金・移管することは不可能です。出金したい際は、ジュニアNISA口座の閉鎖が前提となるため、すべての株式や現金を払い出すことになります。
新NISAとは2024年から制度が変わるNISA
2024年度以降は制度が変わりました。
前章では、旧NISAの3種類のNISAについて紹介してきました。2024年からは、非課税期間の無期限化や口座開設期間の恒久化、対象年齢の拡大など内容の拡張が図られた、新しいNISAが導入されます。
引用:金融庁「新しいNISA制度の概要と改正の狙い」
他にもNISAには変更点があるため、2024年からNISAを始める人は注意しなければなりません。
そして、新NISAでは「一般NISA」と「つみたてNISA」という枠組みから、「つみたて投資枠」と「成長投資枠」という枠組みに変わります。
旧NISAでは、どちらか一方の枠を選択する必要がありましたが、2024年度以降は両方の枠を同時に利用できるようになったことがポイントです。
これにより、今後はより個人の希望に合わせて、柔軟な投資が可能になります。本章では、「つみたて投資枠」と「成長投資枠」の意味を解説します。
つみたて投資枠
「つみたて投資枠」は、長期の積み立てや分散投資に適していると判断された、一定の投資信託商品のみが対象の投資枠で、「つみたてNISA」の内容を引き継いでいます。年間投資金額の上限は120万円で、非課税対象金額の上限は成長投資枠と合わせて1,800万円です。
例として、公募株式投資信託では「信託報酬が一定水準以下」「販売手数料ゼロ」「主な投資の対象資産に株式を含むこと」などの条件を満たしている商品が対象になります。
購入できる商品は具体的に、国内外の株式や債券などに分散投資するバランス型の株式投資信託や、信託報酬が低い株式投資信託などがあります。
反対に、信託報酬が高い投資信託や債券やREIT(投資者から収集した資金で不動産投資を行い、得た賃貸料収入や不動産の売却益から、投資者へ配当する商品)だけに投資する投資信託は対象外です。
つみたてNISA同様、つみたて投資枠は低リスク・低コストのため、初心者におすすめの投資と言えるでしょう。
成長投資枠
成長投資枠は、上場株式や上場投資信託などの幅広い商品が対象で、一般NISAの内容を引き継いでいます。年間投資金額の上限は240万円で、非課税対象金額の上限は1,200万円です。そのため、つみたて投資枠では対象外になっている商品の購入もできます。成長投資枠は、自分で自由に投資したい人やリターンを増やしたい場合におすすめの投資です。
また、これまでのNISAでは「一般NISA」と「つみたてNISA」の併用はできませんでした。しかし新NISAでは、つみたて投資枠でコツコツ積立投資をしつつ、自分のタイミングで成長投資枠の商品に投資することも可能です。
新NISAの投資枠2つを比較
基本的には、新NISAの投資枠は両者共通のものもあります。
- 年間投資金額の上限が拡大した点
- 生涯を通じて非課税の対象となる合計金額の上限が新設された点
- 非課税となる対象期間が無期限となった点
- 口座開設の期限がなくなった点
反対に、つみたて投資枠と成長投資枠で異なっている点は「年間投資金額の上限」のみです。併せて、旧NISAにくらべて、長期的かつ大きな投資ができるようになったことに注目してみてください。
つみたて投資枠 | 成長投資枠 | |
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NISAを活用する3つのメリット
NISAの活用には、大きく分けて3つのメリットがあります。
運用益が非課税になる
通常、上場株式や投資信託等の配当金や売却益の場合には、20.315%の税金がかかります。しかしNISAの場合は、期間内であれば非課税です。
また、運用益には所得税や住民税も課税されず、確定申告も必要ないため面倒な申請が不要な点も、メリットと言えます。
少額から投資ができる
ネット証券では、100円からNISAの投資が可能なところもあります。例えば、SBI証券、マネックス証券、楽天証券などであれば、最低購入金額が原則100円から投資が可能です。
NISAではハイリターンは期待できないものの、ローリスクローリターンで安全な投資を望む人にとっては、最適な投資と言えるでしょう。また、購入回数の上限も設定されていないため、少額でこまめに購入できます。
一般NISAでは金額の上限なくロールオーバーできる
ロールオーバーとは、非課税期間が終了してリセットされる際、または非課税の限度額を越えた場合、翌年の非課税枠に期間が終了した枠を移換できるルールです。
引用:金融庁「一般NISAの基礎知識」
これにより、非課税枠で失われた利益を、再び非課税枠に移行できます。そのため、うまく運用すれば非課税でお得に投資できる期間を増やせます。
また、ロールオーバーの対象になる金額には上限がないこともメリットです。ただ、2024年以降は、ロールオーバーという概念そのものがなくなるため、ロールオーバーできなくなることに留意しなければなりません。
NISAを活用する3つのデメリット
NISA活用を考える際に、留意すべき点もあります。
元本割れの可能性がある
新NISAの成長投資枠は、対象が上場株式や投資信託なので、元本割れをする可能性があります。定期預金のような元本保証は用意されていないため、価格が常に変動することで売却時の価格が購入時の価格を下回って、元本割れするリスクは否定できません。NISAにおいても銘柄選びが重要になります。特に、自信がない初心者は、少額からのスタートがおすすめです。
損益通算ができない
新NISAの成長投資では、同一年分の利益と損失を相殺する損益通算ができません。
一般の投資では、複数の投資用口座で取引している場合、ある口座で損しても別の口座で出した利益で損した分を相殺できます。例えば、口座Aで100万円の利益が発生し、口座Bでは30万円の損失が発生した場合、相殺すれば利益は70万円となるため、税負担を減らすことが可能です。
しかし、新NISAの成長投資では損益通算できないため、NISA口座で損失が発生して別の課税口座で利益が発生していても相殺できません。別の課税口座で発生した利益に対しては、税金を全額支払う必要があります。
新たに投資する必要がある
すでに別の口座でNISA以外の投資を行っている場合、新たにNISA用の口座を作る必要があります。なぜなら、NISAは、1人につき1口座しかNISA用口座として使えないためです。もともと投資をしていた方にとっては、口座を開設する手間をデメリットに感じるかもしれません。
NISAの始め方
NISAの始め方について、以下5ステップに分けて解説します。
1.NISA用の口座開設
まず、NISA口座を開設する金融機関を選びます。NISA口座は、メガバンクやネット証券などで開設できます。金融機関によって選択できる銘柄の種類や数、さらには手数料などが異なるため、十分な比較検討が必要です。
金融機関の決定後、口座開設を申請します。口座開設には申請書類のほか、マイナンバーカードなどの本人確認書類が必要になります。
- 運転免許証
- 健康保険証
- パスポート
- マイナンバーカード
- 住民基本台帳カード
- 住民票の写し
- 印鑑登録証明書
- 在留カード
- 特別永住者証明書
2.NISA申込書の取り寄せ
申し込んだ金融機関より、NISA口座開設申込書(非課税適用確認書の交付申請書 兼 非課税口座開設届出書)を取り寄せたら、記載方法の見本に従って必要項目を記入します。申込書の記載内容に不備があると、口座開設に余計に時間を要してしまうため、必ず正確に記入しなければなりません。
また、ネット証券など一部の金融機関では、公式ホームページから口座開設することも可能です。例えば、楽天証券やSBI証券では、マイナンバーカードさえあればスマートフォン1つで口座開設を申込みでき、早ければ翌日に口座を開設できます。
3.必要書類の返送
全ての必要書類が用意できたら、金融機関へ返送します。その前には、宛名、担当部署などの不備が無いことを十分確認しておきましょう。
4.税務署からの申請内容の確認
NISAの口座を開設するためには、税務署に対して二重口座でないことを確認しなければなりません。二重口座とは、同じ金融機関で複数の口座を持てないことです。
申請内容の確認は口座開設が完了する前後のどちらでも可能ですが、金融機関への申請より後にする必要があります。
5.口座開設通知|運用開始
自宅へ口座開設通知書が到着したことを確認したら、NISA口座の運用を開始できます。
NISAを始める際の心構え
NISAを始める際には、正しい心構えをもっていないと小手先のテクニックに囚われて、期待するメリットは得られません。最後に、もつべき心構えを3つ解説します。
始める目的を明確にする
自分のライフプランをしっかり考え、何を目的としてNISAで投資を始めたいのか明確にします。
- 老後の資金のため
- 子どもの教育資金のため
目的やライフプランが異なれば、投資する金額や達成までの期間も変わって来るものです。よって、明確な目標を設定することで、自身にとって価値ある投資となり長期にわたっての運用につながります。
例として、「現在8歳の小学生の子どもを持つ40歳の夫婦が、子どもが18歳になる10年後までに250万円を貯めたい。」というケースでの預金とつみたてNISAの活用を比較します。
【投資運用せずに預金だけで10年間貯金するケース】
毎月2万円の預金のみで積み立てる
条件:預金金利は年0.01%
=240.1万円
引用:金融庁「子どもの教育費を用意したい」
【つみたてNISAを活用して積み立てていくケース】
つみたてNISAで、毎月2万円ずつ10年間積み立てる
条件:年利2%で運用できた場合
=265.4万円
引用:金融庁「子どもの教育費を用意したい」
このように、毎月同じ金額を同じ期間つみたてても、現金預金とつみたてNISAでは「10年間で25万円以上」もの差がでます。
ただ、目的や目標が明確でなければ、中途半端に運用してしまって、あまり満足の行く結果にならないかもしれません。
分散して投資をする
分散投資とは、リスクヘッジとして複数の異なる対象に投資することです。それにより、一度に大損するリスクを抑え、安定したリターンを期待できます。
NISAは投資の中では低リスクとされていますが、投資である以上リスクをゼロにはできません。
そこで、成長投資枠とつみたて投資枠の併用、もしくは他の株投資などとも併用することで、分散投資を行いましょう。これにより、投資で大損を防ぐことに加え、メンタルの安定にもつながります。
正しい知識をつける
複数の情報を比較し、さらに情報元を十分に確認することで、間違った情報に踊られずにすみます。NISAについてある程度の知識があれば、安心して投資を行うことが可能です。
NISAに関してより知識を身につけたい方は、本記事に加えて以下のサイトも参考にしてみてください。
【参考】
つみたてNISA早わかりガイドブック(金融庁)
みんなにいいさ!NISAがいいさ!!(日本証券業協会)
まとめ|NISAとは将来を見据えた資産形成制度
NISAは、国民の資産形成のために国が始めた投資制度です。
少額から投資でき、さらに非課税であることから初心者でも始めやすい利点があります。NISAには、「一般NISA」「つみたてNISA」「ジュニアNISA(2024年から廃止)」の3種類があり、それぞれ特徴が異なります。
2024年から新NISAが導入され、NISAの抜本的拡充・恒久化が図られ「つみたて投資枠」と「成長投資枠」の2つへ変更されました。それにより、今後NISAの運用方法も変わってくることが予想されます。
NISAは、非課税で少額から投資できるなど、さまざまなメリットがある反面、元本割れの可能性などデメリットに気をつけなければなりません。NISAに失敗しないためには、開始する前に投資の目的を明確にした上で、自分にあった「投資枠」を選択することが重要です。
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よくある質問
Q1.NISAのメリットとデメリットは何ですか?
NISAのメリットには、「運用益が非課税になる」「少額から投資ができる」「一般NISAでは金額の上限なくロールオーバーできる」などが挙げられます。
一方デメリットとして「元本割れの可能性がある」「損益通算ができない」「新たに投資する必要がある」という点があります。
詳しくは、「NISAを活用する3つのメリット」と「NISAを活用する3つのデメリット」の章をご覧ください。
Q2.新NISAでは何が変更されるのですか?
2024年から始まる新NISAでは、非課税期間の無期限化や口座開設期間の恒久化、対象年齢の拡大などが、主な変更点です。
また、「一般NISA」と「つみたてNISA」は、それぞれ「つみたて投資枠」と「成長投資枠」という枠組みに変わります。
詳しくは「新NISAとは2024年から制度が変わるNISA」の章をご覧ください。