SDGs(持続可能な開発目標)とは、より良い世界の実現を目指すために国連サミットで採択された国際目標です。
環境保護や国際支援など17項目の目標が設定されており、政府はもちろん、企業や個人も取り組み対象です。
日常生活でSDGsを耳にする機会は多くなったものの、実際にどれくらい認知され、行動に取り組まれているのでしょうか。
今回はそんなSDGsについて、認知度から個人・家族や企業の取り組み状況、SDGsにつながる行動などについて、全国15~99歳の男女2,000人を対象に調査を実施しました。
SDGsについて認知度、関心の高い項目、個人の取り組み、企業の取り組み、SDGsにつながる行動などについてアンケートを実施しました。この調査を元にSDGsの取り組みの実態を分析していきます。
SDGs(持続可能な開発目標)とは、より良い世界の実現を目指すために国連サミットで採択された国際目標です。
環境保護や国際支援など17項目の目標が設定されており、政府はもちろん、企業や個人も取り組み対象です。
日常生活でSDGsを耳にする機会は多くなったものの、実際にどれくらい認知され、行動に取り組まれているのでしょうか。
今回はそんなSDGsについて、認知度から個人・家族や企業の取り組み状況、SDGsにつながる行動などについて、全国15~99歳の男女2,000人を対象に調査を実施しました。
持続可能な開発目標を掲げるSDGsですが、実際にどの程度の人が知っているのでしょうか。
SDGsの認知度を尋ねる質問では、SDGsを「聞いたことがない」と回答した割合は10%を切っており、90%以上の方は聞いたことがあるようです。
聞いたことがあると答えた方の内訳をみると、「概要を知っている」「言葉は聞いたことがある」が約8割を占める一方、「目標の項目を知っている」と回答した方は11.4%と低くなっています。
年代別で見ると、10代の割合がとりわけ高くなっていました。これは、学校でSDGsについて学んでいる影響が大きいと考えられます。
SDGsの認知度は高まっているとはいえ、目標まで知っている方や、具体的な行動に移している方は多くないようです。
SDGsは持続可能な社会を実現できるよう、2015年の国連サミットで採択された、2030年までに目指したい世界の姿を掲げた国際目標です。
国連サミットではSDGsの17項目が持続可能な社会の実現に必要だと考えられていますが、実際に多くの方はどのような社会問題に関心を持っているのでしょうか。
複数回答で関心のある社会問題を聞いたところ、「経済」45.7%、「世界情勢」41.0%、「エネルギー問題」30.6%といった項目が上位にランクイン。経済やエネルギー問題など、身近な生活と密接し、金銭的な影響を感じやすい項目に多くの方が注目しているようです。
一方で「教育・福祉」22.1%、「差別」17.2%といった項目は低い結果となっています。「教育・福祉」には、生活困窮者への生活支援などの社会保障も含まれますが、現状ではあまり高い関心を集めていないようです。
年代別に見たデータでは、最も多かった「経済」への関心は20代以降、年齢が上がるにつれて高くなる傾向が分かりました。
これは収入の増加に伴い、仕事への影響や資産運用、市場の動向に関心を持つ方が増えるからだと推測されます。
この設問は以下SDGs17の目標のうち、関心のある目標を聞きました。
上記グラフから全体的な傾向として、年齢が上がるほど目標への関心が高くなっているのが分かります。
SDGsにおける17の目標のうち、全世代で最も多かった回答は「すべての人に健康と福祉を(42.0%)」、次いで「気候変動に具体的な対策を(37.5%)」でした。社会保障・福祉や環境保護に対する意識が特に高いことが分かります。
先ほどの社会問題への意識では、経済や世界情勢への関心が強く表れていました。SDGsでも「働きがいも経済成長も」や「産業と技術革新の基盤をつくろう」といった目標がありますが、それぞれ12位16位と低い順位にとどまっています。
したがってSDGsを「福祉」や「環境問題」に関係するものだととらえる方が多い可能性があります。
また「ジェンダー平等を実現しよう」では、全世代での順位は14位と高くありませんでしたが、10代では1位を記録しており、若い世代で意識が高くなっています。年代による意識差が表れている項目と言えるでしょう。
SDGsにおける17の目標のうち、関心の低い項目について聞きました。
回答では「ジェンダー平等を実現しよう(11.9%)」に関心が薄いと答える方が多く、特に上の年代でその傾向が高いと推測されます。具体的には以下のような理由が挙げられていました。
ジェンダー平等に対する考え方も人それぞれであり、そもそもジェンダー平等をSDGsの目標とすることに懐疑的な方も一定数いるため関心が薄い項目のトップに挙げられていると考えられます。
関心が低い17の目標第2位は「パートナーシップで目標を達成しよう」でした。目標の意味は発展途上国への積極的な支援や国際的な開発協力のことを指しているのですが、文字だけ見ると抽象的で内容が分かりづらいため、関心が低くなっていると推測されます。
関心の低い項目を尋ねる質問でしたが、回答自体は「当てはまる項目はない(42.7%)」が最も多く、SDGsを認知している方の大半はすべての項目が重要だと感じているようです。
SDGsという国際目標について、どのような印象を持っているか、好意的な意見と否定的な意見に分けて紹介していきます。
以上のようにSDGsについてさまざまな意見があり、目標に関して曖昧だという印象を持っている方も多いようです。政府も『SDGsアクションプラン2022』など、基本的な指針を示してはいるものの、本格的に浸透していくのはこれからと言えるでしょう。
個人や家庭内でどの程度SDGsに取り組んでいるか聞きました。
一番多い回答は「取り組む予定はないが今後取り組みたい(34.3%)」で、次に「取り組む予定はない(34.0%)」でした。
「取り組む予定はない(34.0%)」という否定的な回答が多い背景には、「個人で取り組んでも意味がない」と考えている方や、「強制力がないと効果がない」と考えている方が一定数いることが考えられます。
現段階で取り組みへの実施有無を問わず、取り組みへ前向きな回答は66.0%あり、その中で「取り組んでいる」方は18.8%でした。
ただし多くの方が日常生活で「水や電気の無駄遣いを無くす」「不必要なものを購入しない」「買い物にはマイバッグを持参する」といった行動をしているのではないでしょうか。
しかし、こうした行動をSDGsの取り組みと認識していない方も一定数いるため、低水準にとどまっていると考えられます。
なお年代別でみると、年齢が上がるほど「取り組んでいる」の項目が増加していました。実際の取り組みでも、これまでと同様に上の年代ほどSDGsに対する意識が高いようです。
前問(個人または家族でSDGsに取り組んでいるか)で、SDGsに「取り組んでいる」と回答した方に、当てはまる目標を複数回答で質問しました。
その結果「つくる責任つかう責任(37.8%)」が最も多くなっています。具体的な取り組み例としては「食べ残しをしない」や「節水を心がける」といった行動が当てはまり、実生活で行動に移しやすいことが上位になっている理由と言えるでしょう。
他にも「海の豊かさを守ろう」「気候変動に具体的な対策を」なども上位項目であり、環境保護に関する目標に積極的な様子が見られます。
環境保護に対し自分が行っている活動を聞いたところ、以下のような回答がありました。
このようにゴミの分別や食品ロスの削減など、身近な取り組みが多く挙げられていました。
自分の職場・所属団体がSDGsに取り組んでいるか質問した結果、「はい」という回答は15.4%あり、個人で取り組んでいる方(18.8%)と比較するとやや少ない結果でした。
また自分の職場・所属団体がSDGsに取り組んでいると答えた方に、その活動に当てはまる目標を複数回答で質問したところ、「つくる責任つかう責任(25.6%)」と、「エネルギーをみんなにそしてクリーンに(25.3%)」が上位にランクインし、個人・家族での取り組みと類似した結果になりました。
とはいえ最も多かった「つくる責任つかう責任」は、個人・家族の場合は37.8%でしたが、職場・所属団体だと25.6%となり、やや少ない印象です。
人的・資金的に余力のある大企業はSDGsに取り組む余裕があるものの、中小企業ではそこまでのリソースが割けない現状があるということかもしれません。
また、職場・所属団体の取り組みでは、「働きがいも経済成長も」や「ジェンダー平等を実現しよう」など、個人・家族の取り組みとは違った項目が上位に上がっています。
したがって働き方の見直しや、ジェンダー平等の実現に意欲的な企業が増えていると考えられます。
職場・所属している団体が行っている活動の具体例を紹介します。
職場・所属団体だからこそ、規模の大きい取り組みも多いですが、「車やトラックの停止中のエンジンを切る」「不必要なラッピングを行わない」といった行動は個人でも参考にできる部分ではないでしょうか。
最後に普段SDGsに当てはまる行動をしているか、複数回答で聞きました。
上記グラフ内の項目はどれもSDGsに関わる当てはまる行動ですが、「当てはまる項目はない」と、上記の行動をいずれも行っていないと回答した方は、わずか9.2%でした。
先ほど「個人または家族でSDGsに取り組んでいるか」の質問では、「取り組んでいる」と回答した方は18.8%と少数でしたが、具体例をあげて質問してみると、90.8%の方はSDGsに当てはまる何らかの行動をしているようです。
SDGsというと、世界規模で取り組む課題と考え、敷居が高いものと感じている方が多いのかもしれませんが、実はグラフの項目にあるような身近な行動も、SDGsの取り組みになっているのです。
具体的な項目を見ていくと「食べ残しをしない」「電気をこまめに消す」「エコバッグ・マイボトルを使う」といった、日常生活で取り組みやすい活動が上位にきており、無駄な消費を減らすことを心がけている方が多いようです。
その他「賞味期限が間近の食品を買う」は、選ぶことを避ける方も多そうですが、39.8%の方が取り組んでいると回答しており、意外と積極的に取り組まれている印象を持つのではないでしょうか。
ここまでSDGsについて認知度や関心の高い項目、個人・企業での取り組みなどに関するアンケート結果を紹介しました。
SDGsは17の目標から構成されていますが、例えばジェンダー平等など、企業・組織では関心が高い一方、個人ではさほど意識されないなど、取り組む属性により意識に違いが見られました。
また個人や家族では、日頃から意識的にSDGsに取り組んでいると回答した方は多くありませんでしたが、「食べ残しをしない」など日常生活で実践できる行動には、意外と普段から取り組めている実態も見えてきました。
SDGsの目標は持続可能な社会を作るために必要な取り組みだと思う反面、多くを求められると窮屈に感じる方もいるでしょう。しかし、SDGsの目標自体には賛同できるものが多いのではないかと思います。
掲げた目標が意義のあるものになるよう、個人・企業ともによりいっそう行動に移していく必要があるでしょう。
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