徹底調査63.5%が利用していないNISA。
ただし7割以上は利益が出ている!? 20代~70代の各500名ずつ3,000人を対象に、「NISA」に加え「iDeCo」についてもアンケートを実施しました。
NISA・iDeCoの利用率や利益率、また人気の証券会社や金融機関などについて、年代別だけでなく年収別にも分析し解説していきます。

NISA?iDeCo?「NISA」をよく知らないという方でも、テレビなどで名前を聞いたことはあるのではないでしょうか。 NISAとは少額投資非課税制度という税制優遇のことです。

通常、株式・配当金・譲渡益といった投資による利益については20%ほど税金がかかります。しかし、NISA口座内で購入した一定額の投資の利益についてはこの税金が最長5年間(※)非課税で受け取ることが出来ます。(※2023年までの現行制度の場合) NISAを使えばただ資金を貯めておくよりも資産を増やせる可能性がある上、少額からスタートすることができるため、活用する人が増えています。

infoQでは、20代~70代の各500名ずつ3,000人にアンケートを行い、NISAの利用率や利益率などを調査しました。 NISAとセットで活用されることの多い「iDeCo」についても聞き取りました。

これら2つの制度を利用すると有利に資産運用をすすめやすくなります。
本記事では、NISAやiDeCoがどのように利用され、何割の人が実際に利益を出しているのか詳しく解説します。

調査結果

Q1NISAの利用状況

NISAを利用していない人は63.5%!利用率と認知度は低く留まる

「NISAの利用状況」調査結果

NISAを利用していないと答えた人は63.5%でした。
また、「NISAを知っていますか?」との質問に対し、「名前も内容もよく知っている」「概要は知っている」と回答した人はそもそも56.1%にとどまり、残りの43.9%は「名前は聞いたことがある」「知らない」と回答していました。
NISAの利用率が低く留まっているのは、そもそも認知度の問題も大きいようです。

NISAには「一般NISA」と、長期間の分散投資を投資信託で行う「つみたてNISA」の2種類があります。どちらか1つだけ選択可能で、同時に利用することはできません。
違いとして、一般NISAでは年間に120万円までの投資金額の上限や、利用期間は5年間などの条件がありますが、つみたてNISAの方は年間40万円まで、期間は20年間という制度になっています。

つみたてNISAも15.5%と着実に利用されており、20年積み立てできることなどから若い世代に人気があります。 投資信託になっていることも選びやすく、若い世代が始めやすい要因と言えるでしょう。

ちなみに現行のNISA制度は2023年に終了を予定していますが、2024年から2028年までも新しい制度として施行されることがすでに決定しています。 当面の間は同様の制度が利用できると考えて良いでしょう。

Q2「年収別」NISAの利用状況

「年収別」で見えてくるNISA利用者の実態

「「年収別」NISAの利用状況」調査結果

NISAの利用状況は、年収によって違いがあるようです。 調査では、年収の増加とともに「利用していない」は減少し、逆に「NISAを利用している」の利用者が増えていました。 NISAのような比較的少額の投資であっても、年収が高くなるにつれて利用が増加しているのには、高収入層ほど

  • 投資余力がある
  • 金融リテラシーがある
  • 節税への意識が高まる

といった要因があるのではないでしょうか。

もう1つ特徴的なのは、「NISA」の利用は年収が上がるほど増加しているのに対し、「つみたてNISA」の方は200万~1,000万までの間およそ20%と、増加することなく推移しそこから減少しています。
このことから、年収が1,000万を超えると投資信託での運用よりも、大きく利益が出る可能性のあるNISAを好んで選んでいると読み取ることもできます。
見方を変えると、800万~1,000万の年収があっても、つみたてNISAで堅実な投資を考える人は多いとも言えます。

Q3「年代別」NISAの運用状況

「利益が出ている」が全体の72.3%
特に若い世代で高い結果に!

「「年代別」NISAの運用状況」調査結果

NISAを利用して資産運用を始めるときに気になることは、「結局、利益が出るのか」というところですよね。
実際にNISAを利用している人の運用状況を見てみました。
最も利益が出たと回答したのは30代で、84%でした。
最も低い70代でも62.4%で、NISA利用者は損失と比較すると多くの利益が出ていると言えそうです。

全体では「利益が出ている」が72.3%、「損失が出ている」は13.2%となっています。

また若い世代で8割前後の利益が出ているという結果も特徴的です。
若い世代は、つみたてNISAの利用が多いという結果がありました。つみたてNISAで長期的・安定的に利益が出ていることが考えられます。
「利益が出ている」との回答が多い30代は、NISAを始めた理由として「勉強のため」をあげた割合が全世代で最も高くなっており、資産運用に対する関心の高さも運用状況に影響を与えているのかもしれません。

Q4NISAの口座を開設した目的・動機

資産運用の勉強のため、
NISAを始める投資初心者も多い!?

「NISAの口座を開設した目的・動機」調査結果

NISAを利用している人に対し、複数回答の質問を行いました。
「資産を増やすため」や「節税のため」が多いですが、若い世代を中心に「勉強のため」という回答も128人と比較的多く、つみたてNISAなど投資初心者が始めやすい資産運用という面が表れています。

「将来に不安を覚えたから」という理由をあげた人も127人いました。
こちらは20代~40代の若い世代に多い回答になっています。詳しく見てみると、年収による回答数の差もほとんどなく、年収が多くても将来に金銭的不安を感じているという実情が見えてきます。

「金融機関で案内された」が112人となっています。
年収別に見てみると、年収が高いほどNISAの利用者が多いのでこちらの割合も高いと思われるところですが、実際には一番割合が高いのは年収200万円未満になっています。 この結果から、知識さえあれば所得が少なくても利用しやすいのが、NISAのメリットと言えるかもしれません。

Q5「年代別」NISAの利用率

「つみたてNISA」が影響か?
近年利用者増加の若者世代

「「年代別」NISAの利用率」調査結果

NISAとつみたてNISAを始めた時期の回答結果をもとに、年度毎の利用率推移を示しました。
2018年頃から若い世代の利用率が大きく伸びてきています。これまでも述べてきたように若者に人気の「つみたてNISA」は2018年からの開始となっているので、そのことの影響がうかがえます。
若い世代は、口座を開設した動機で「家族や知人に勧められた」や「テレビやネットなどを見て興味を持った」の項目が他の世代よりも多いことから、制度が浸透してきているということもあるのではないでしょうか。

一方高齢世代では、制度開始当初に多くの人が利用し、その後徐々に利用率の伸びはおだやかになってきています。
やはり投資余力がある高齢者はNISAの制度開始とともに利用した一方、そうではない人は、始めるための金銭的余裕やきっかけがないということが考えられます。

なお、2020年からの新型コロナウィルスの影響がみられるかというところですが、このグラフを見る限り全世代への影響は少ないとみられます。その中でも突出して20代のNISA利用率の急増から見えるのは、先述の「つみたてNISA」制度の近年の認知・普及に加えて、コロナ禍による就労事情や収入に対する心境変化に大きな影響を与えた可能性もあると考えてよいでしょう。

Q6確定拠出年金(iDeCo、企業型DC)の運用状況

確定拠出型年金(iDeCo、企業型DC)はNISAよりも安定!?
「利益が出ている」、「損失が出ている」ともに少ない結果に

「確定拠出年金(iDeCo、企業型DC)の運用状況」調査結果

iDeCoとは確定拠出年金という制度の一種です。確定拠出年金には企業型年金(企業型DC)と個人型年金(iDeCo)があります。
iDeCoは年金に似た制度ですが、年金と違い自分で運用方法を指定できるほか、様々な税制の優遇もあるというのが特徴です。ただし60歳になるまで投資したお金を引き出すことはできません。 また企業型年金(企業型DC)とは、企業が掛金を毎月従業員の年金口座に積み立て(拠出)してくれる制度のことで、入社した企業で定められてる自動加入の場合と、自由意志で決められる場合があります。

iDeCoはNISAと合わせて活用されることの多い制度ですが、実際のところどちらの方が利益が出ている割合が高いのでしょうか?

確定拠出型年金(iDeCo、企業型DC)の運用状況は、全体の69.3%が「利益が出ている」と答えていました。 NISAの運用状況は全体の72.3%が「利益が出ている」と回答していたので、ほとんど同じ程度と見て良さそうです。
ちなみに確定拠出型年金(iDeCo、企業型DC)は長期の投資という性質上、現状の損益について「分からない」の回答が多くなっています。

そこで利益と損失に焦点を当て「利益が出ている」と「損失が出ている」の比率が何倍になっているかを比べてみると、
NISAの場合では、72.3(利益)÷13.2(損失)=5.47倍
であったのに対し、
確定拠出型年金(iDeCo、企業型DC)の場合は:69.3(利益)÷7.7(損失)=9倍
と、損失よりも利益が出ている人がNISAよりも多くなっていました。

Q7「年収別」確定拠出年金(iDeCo、企業型DC)の利用状況

年収600万円以下の約8割が利用していない
確定拠出年金(iDeCo、企業型DC)!

「「年収別」確定拠出年金(iDeCo、企業型DC)の利用状況」調査結果

確定拠出年金を現在利用していない人は、平均的な年収400~600万円で78.1%。全体では80.5%となっていました。
NISAでは現在利用していない人が全体の63.5%だったので、確定拠出年金の方がさらに利用者が少ないことがわかります。
確定拠出年金では様々な税制の優遇が受けられますが、そもそも認知度がNISAよりも低いということもあり、そのことがこの結果につながっているのではないでしょうか。

iDeCoと企業型DCの比較では、同程度の利用率もしくは企業型DCがやや多いというデータです。
確定拠出年金は会社員が始めるケースが多く、口座を開設した理由でも会社に指定されたという声がよく聞かれました。
また確定拠出年金は一定条件の下、企業型DCとiDeCoの両方を利用することも可能となっています。

NISAとiDeCoを比べてみると、iDeCoは年収による差がよりわかりやすく出ています。これは年収が高いほど投資余力があるなどの理由の他、iDeCoはNISAと違い「所得控除」もあるので、節税効果が大きいことが要因になっていると考えられます。

Q8NISA・確定拠出年金(iDeCo、企業型DC)の口座を開設した証券会社や金融機関

NISA・iDeCoを始めた人の、その証券会社や
金融機関を選んだ理由を紹介!

NISA
< 金融機関・証券会社 > < 選んだ理由 >
SBI証券 ブラウザやアプリの操作性が便利なため
松井証券 50万円以下無料の手数料
楽天証券 クレジットカード払いでポイントがつくから
確定拠出年金
(iDeCo・企業型DC)
< 金融機関・証券会社 > < 選んだ理由 >
三菱UFJ銀行 昔から利用していたし、安心感があるから
三井住友
銀行
会社からの指定口座だったから
マネックス
証券
そこでしか買えない商品があったから

Pick Up口座開設はNISA・確定拠出年金(iDeCo、企業型DC)ともに
取扱商品が多く手数料が安い証券会社が人気!

NISAやiDeCoを始めるには、証券会社や金融機関に口座を作る必要があります。
制度を利用している人がどこで投資を始めたのか、自由記述の設問の結果から回答を集計しました。集計の結果、大手証券会社2社が人気となっていました。なお、人気の証券会社のNISA取引では以下の特徴がありました。

  • 取扱商品が多い
  • 手数料が安い
  • 海外株を取り扱っている
  • 夜間取引が可能
  • ポイントが付与される

一方、確定拠出年金では会社で指定された、との回答が目立ちました。その影響か大手銀行系もよく利用されていました。NISAもiDeCoもまだまだ認知度が低く、利用するとお得な制度なのに利用されていないという印象があります。

つみたてNISAなど、初心者でも資産運用を始めやすい制度もありますので、まだ始めていない方も興味を持ってくわしく調べてみるのも良いかもしれません。

調査概要

調査方法:
infoQでwebアンケート実施
調査期間:
2021年10月15日(金)~2021年10月21日(木)
有効回答:
3,000サンプル
調査対象:
全国15~99歳男女

\ この記事をシェアする /

これまでの「自主調査結果」はこちら

infoQでは、様々なアンケートを行っております。

アンケートを通して
あなたの声を聞かせてください。

興味を持った方はぜひ、アンケートサイトinfoQに
登録しませんか?